CAF AWARD

CAF賞2021


ABOUT CAF AWARD


公益財団法人現代芸術振興財団はこの度、学生対象アートコンペ「CAF賞2021入選作品展覧会」を、11月24日(水)〜11月28日(日)に、東京・代官山のヒルサイドフォーラムにて開催いたしました。8回目の開催となる今年は、岩渕貞哉氏(美術手帖総編集長)、金澤韻氏(現代美術キュレーター)、名和晃平氏(彫刻家)、保坂健二朗氏(滋賀県立近代美術館ディレクター・館長)の4氏が審査員を務め、最優秀賞1名・審査員特別賞4名の、合計5名の学生を選出。 本展では、前回を大きく上回る応募の中から審査を通過した、絵画、彫刻、映像、パフォーマンス、インスタレーションなど12名の作家による入選作品を展示し、最終審査を行い各賞受賞者を発表いたしました。

 

CAF賞」は、学生の創作活動の支援と日本の現代芸術の振興を目的に開催し、日本全国の高校・大学・大学院・専門学校の学生、および日本国籍を有し海外の教育機関に在籍する学生の作品を対象としたアートアワードです。最優秀賞に選ばれた受賞者には賞金100万円のほか、副賞として個展開催の機会を提供します。また、入選者を含むいずれかのものに海外渡航費用として50万円を授与いたします。

JURIES審査員


  • 美術手帖総編集長/美術出版社取締役

    岩渕 貞哉

    Teiya IWABUCHI

    1975年、横浜市生まれ。1999年慶応義塾大学経済学部卒業。2008年に「美術手帖」編集長となり、2019年より現職。2019年に「OIL by 美術手帖」として、アートECサイトとリアル店舗(渋谷パルコ2階)をオープン。公募展の審査員やトークイベントの出演など、幅広い場面でアートシーンに関わる。

  • 現代美術キュレーター

    金澤 韻

    Kodama KANAZAWA

    1973年、神奈川生まれ。現代美術キュレーター。東京藝術大学大学院、英国 Royal College of Art(RCA)修了。熊本市現代美術館など公立館での12年にわたる勤務ののち、2013年に独立。国内外で展覧会企画多数。近年企画・参画した主な展覧会に、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020(横浜)、「インター+プレイ」、「AKI INOMATA:シグニフィカント・アザネス」、「ウソから出た、まこと」、「毛利悠子:ただし抵抗はあるものとする」、「ラファエル・ローゼンダール:ジェネロシティ 寛容さの美学」(十和田市現代美術館、青森、2018~2020)、杭州繊維芸術三年展(浙江美術館ほか、杭州、2019)、「Enfance」(パレ・ド・トーキョー、パリ、2018)、茨城県北芸術祭(茨城県6市町、2016)など。

  • 彫刻家/Sandwich Inc.代表/京都芸術大学教授

    名和 晃平

    Kohei NAWA

    1975年生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。2009年、京都に創作のためのプラットフォーム「Sandwich」を立ち上げる。独自の「PixCell」という概念を軸に、様々な素材とテクノロジーを駆使し、彫刻の新たな可能性を拡げている。近年は建築や舞台のプロジェクトにも取り組み、空間とアートを同時に生み出している。2018年、フランス・ルーヴル美術館にて彫刻作品"Throne"を特別展示。2015年以降、ベルギーの振付家/ダンサーのダミアン・ジャレとの協働によるパフォーマンス作品"VESSEL"を国内外で公演中。

  • 滋賀県立美術館ディレクター(館長)

    保坂 健二朗

    Kenjiro HOSAKA

    1976年生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了。2000年から2020年まで東京国立近代美術館に勤務。同館にて企画した主な展覧会に「エモーショナル・ドローイング」(2008)、「フランシス・ベーコン展」(2013)、「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」(2016)、「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」(2017)、「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」(2021)など。「Logical Emotion:Contemporary Art from Japan」(2014、ハウス・コンストルクティヴ美術館他)など国外での企画も行う。2021年より現職。主な著作に『アール・ブリュットアート 日本』(監修、平凡社、2013)など。『すばる』の連載など、芸術についての寄稿多数。

WINNERS受賞者と作品


  • 最優秀賞

    稲田 和巳

    Kazumi INADA

    Kazumi INADA

    WEB SITE

    筑波大学大学院

  • Title

    住人たち

    アート・プロジェクト

審査員講評

本作は筑波の街中にある、筑波大学のかつての学生寮を使用し、人々が”住んだ”記録を反映し行われるアート・プロジェクト作品である。どこかに住んでいる人が家に帰ってきたときに灯した明かりに反応し、リアルタイムに電気がつくようになる。実際に本作に協力した人たちも、会ったことがない人も含め、協力者によって作られていくという匿名的な人々の何気ない生活の振る舞いが、この廃墟となってしまった、一見冷たくも見える学生寮に明かりを灯していく、そういったシステムを開発した。
現在のコロナ禍において、部屋で一人孤独に過ごさなくてはならない状況が続いている中で、改めて人が暮らすということはどういうことなのか、今現在できることはなんなのか、また、明かりというものが人々の生活にとってどのような意味があるのか、そういった問いを説得力のある形で考えさせられる作品である。本賞の副賞として開催される、来年の彼の個展においてはどのようなプランを出してくるのかまだわからないが、彼が個人で、あるいは他の人とコラボレーションをすることで、新しい作品が生まれることを期待し、最優秀賞とした。(保坂)

  • 岩渕貞哉審査員賞

    花形 槙

    Shin HANAGATA

    Shin HANAGATA

    WEB SITE

    多摩美術大学大学院

  • Title

    Uber Existence

    身体・視聴覚機器・コンピュータ・ウェブサイト等

審査員講評

実際にウェブサイトをつくり、架空のサービスを提供するパフォーマンス作品。自分が実際には存在しない場所でアクターに代行してもらい、体験をしてもらう。本作内ではバーチャルとリアル、意識と身体の境界が揺るがされる。メタバースが生まれ、コロナが蔓延する世の中で、リアルな体験とはなんなのか、自己の存在や自身の肉体とはどこにあるのか。自分の体験や記憶、人生の核にある根源的な問いを考えさせられる作品。ややもするとスキャンダラスな見え方をする作品ではあるが、人間「存在」に対する深い問いかけがあると思った。(岩渕)

  • 金澤韻審査員賞

    乾 真裕子

    Mayuko INUI

    Mayuko INUI

    WEB SITE

    東京藝術大学大学院

  • Title

    月へは帰らない

    映像

審査員講評

乾の作品はジェンダーにまつわる「もやもや」を母娘が語る。この、歴史として折り重なった、簡単には解けない問題に対して、態度をすぐに決めきれない逡巡や、あえて決めないというある種の《優しさ》のようなものが表れていて、そこから、この問題をまず抱き留めようとする誠実さが伝わってきた。作品として成立させるため、ドラァグクイーンを参照にしたというメイクや、衣装、小道具や演技、作品の最後に流れる作家自身が作詞作曲し歌う歌など、一つずつの小さな要素を非常に丁寧に積み上げており、その構築的な表現に力強さを感じた。また、演じ方や編集においてはどこかユーモラスな余白があり、それが鑑賞者を惹きつけた。問題意識の鋭さ、それを捉えるセンス、スキルが充分にあると思うので、今後はさらに《面白いもの》を作っていってほしいと思う。(金澤)

  • 名和晃平審査員賞

    羽田野 皓紳

    Akinobu HADANO

    Akinobu HADANO

    WEB SITE

    東京藝術大学大学院

  • Title

    Flowing Bodies

    映像、石鹸

審査員講評

羽田野は彫刻作品を作り続ける作家で、人体彫像の歴史に興味を持っている。本展では身近な人物を3Dスキャンし型取りを行い石鹸に置き換え、さらにお風呂でそれぞれの人物がその石鹸を使い体を洗うというシーンを映像化、写真化している。石鹸の彫刻で頭部のみの彫像と裸像とがあるが、それらはブランクーシ、ロダンの青銅時代の歴史的な彫刻のポーズを取っている。新しい技術とクラシックな彫刻、そしてその歴史を参照しながら彼の世代の表現を生み出そうとしているところに興味を持った。(名和)

  • 保坂健二朗審査員賞

    佐藤 菜々栄

    Nanae SATO

    Nanae SATO

    WEB SITE

    多摩美術大学大学院

  • Title

    Jungle

    キャンバスに油彩、鉛筆

審査員講評

本展には4枚の絵画が出展され、絵の中にはターザンの格好をした半裸の男性が描かれている。クローゼットにある洋服の中で洋服を探したり、身に着ける模様が描かれている。佐藤はそのシーンの触感や心情を想像し描かれており、一種のナルシシズムを扱っている作品である。昨年作られた作品に比べると今年描かれたものは男性とは別に、別人格のように見える存在がいたり、植物が現れたり、ゴージャスな表現が薄塗りになっていたりと様々なチャレンジが現れていて、そういった点も考慮し個人賞とした。(保坂)

  • 海外渡航費授与

    大里 淳

    Jun OSATO

    Jun OSATO

    WEB SITE

    東京藝術大学大学院

  • Title

    order

    映像

審査員講評

誰しもが行ったことがあるマクドナルドで、トレーの中に敷かれている広告紙を自分で折り曲げ、その場で彫刻、アートにしてしまうという作品である。実際に大里がマクドナルドに行き、食べ物を食べた後に生まれる作品で、その姿を想像し少し微笑ましいようなシーンを思い浮かべながら見ていたが、その誰もが受け取る広告紙を自分のオリジナルのアートに変えてしまう、日常に変化を与える、アートという遊びの要素を残していく。それが《東京》という大都市の中で、大里自身が作っているその時間を想像した時に、非常にユニークだと感じた。彼が海外のどの国かへ赴き、その地のマクドナルドでこの作品を作り続けるのかもしれない、そんなことを勝手に楽しみにしている。(名和)

FINALISTS入選作家


  • 稲田 和巳(筑波大学大学院)

    Kazumi INADA(筑波大学大学院)

  • 乾 真裕子(東京藝術大学大学院)

    Mayuko INUI(東京藝術大学大学院)

  • オウ ギョウユウ(多摩美術大学大学院)

    Wang Xiaoyong(多摩美術大学大学院)

  • 大里 淳(東京藝術大学大学院)

    Jun OSATO(東京藝術大学大学院)

  • 工藤 時生(武蔵野美術大学大学院)

    Tokio KUDO(武蔵野美術大学大学院)

  • 桒原 幹治(東京藝術大学大学院)

    Kanji KUWAHARA(東京藝術大学大学院)

  • 佐藤 菜々栄(多摩美術大学大学院)

    Nanae SATO(多摩美術大学大学院)

  • 白川 真吏(多摩美術大学)

    Mari SHIRAKAWA(多摩美術大学)

  • 羽田野 皓紳(東京藝術大学大学院)

    Akinobu HADANO(東京藝術大学大学院)

  • 花形 槙(多摩美術大学大学院)

    Shin HANAGATA(多摩美術大学大学院)

  • 藤生 恭平(東京藝術大学大学院)

    Kyohei FUJIO(東京藝術大学大学院)

  • GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE(多摩美術大学)

    GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE(多摩美術大学)

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