CAF AWARD

CAF賞2020


ABOUT CAF AWARD


公益財団法人現代芸術振興財団はこの度、学生対象アートコンペ「CAF賞2020入選作品展覧会」を、12月2日(水)〜12月6日(日)に、東京・代官山のヒルサイドフォーラムにて開催いたしました。 7回目の開催となる今年は、岩渕貞哉氏(美術手帖総編集長)、金澤韻氏(現代美術キュレーター)、名和晃平氏(彫刻家)、保坂健二朗氏(滋賀県立近代美術館ディレクター)の4氏が審査員を務め、最優秀賞1名・審査員特別賞4名の、合計5名の学生を選出。 本展では、前回を大きく上回る応募の中から審査を通過した、絵画、彫刻、映像、パフォーマンス、インスタレーションなど17組の作家による入選作品を展示し、最終審査を行い各賞受賞者を発表いたしました。

 

CAF賞」は、学生の創作活動の支援と日本の現代芸術の振興を目的に開催し、日本全国の高校・大学・大学院・専門学校の学生、および日本国籍を有し海外の教育機関に在籍する学生の作品を対象としたアートアワードです。最優秀賞に選ばれた受賞者には賞金100万円のほか、副賞として個展開催の機会を提供します。また、入選者を含むいずれかのものに海外渡航費用として50万円を授与いたします。

JURIES審査員


  • 美術手帖総編集長/美術出版社取締役

    岩渕 貞哉

    Teiya IWABUCHI

    1975年、横浜市生まれ。1999年慶応義塾大学経済学部卒業。2008年に「美術手帖」編集長となり、2019年より現職。2019年に「OIL by 美術手帖」として、アートECサイトとリアル店舗(渋谷パルコ2階)をオープン。公募展の審査員やトークイベントの出演など、幅広い場面でアートシーンに関わる。

  • 現代美術キュレーター

    金澤 韻

    Kodama KANAZAWA

    1973年、神奈川生まれ。現代美術キュレーター。東京藝術大学大学院、英国 Royal College of Art(RCA)修了。熊本市現代美術館など公立館での12年にわたる勤務ののち、2013年に独立。国内外で展覧会企画多数。近年企画・参画した主な展覧会に、「杭州繊維芸術三年展」(浙江美術館ほか、杭州、2019)、「AKI INOMATA:シグニフィカント・アザネス」、「ウソから出た、まこと」、「毛利悠子:ただし抵抗はあるものとする」、「ラファエル・ローゼンダール:ジェネロシティ 寛容さの美学」(十和田市現代美術館、青森、2018〜2019)、「Enfanceこども時代」(パレ・ド・トーキョー、パリ、2018)、茨城県北芸術祭(茨城県6市町、2016)、「スペクトラム」(スパイラルガーデン、東京、2015)など。

  • 彫刻家/Sandwich Inc.代表/京都芸術大学教授

    名和 晃平

    Kohei NAWA

    1975年生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。2009年、京都に創作のためのプラットフォーム「Sandwich」を立ち上げる。独自の「PixCell」という概念を軸に、様々な素材とテクノロジーを駆使し、彫刻の新たな可能性を拡げている。近年は建築や舞台のプロジェクトにも取り組み、空間とアートを同時に生み出している。2018年、フランス・ルーヴル美術館にて彫刻作品"Throne"を特別展示。2015年以降、ベルギーの振付家/ダンサーのダミアン・ジャレとの協働によるパフォーマンス作品"VESSEL"を国内外で公演中。

  • 滋賀県立美術館ディレクター(館長)

    保坂 健二朗

    Kenjiro HOSAKA

    1976年生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了。2000年から2020年まで東京国立近代美術館に勤務。同館にて企画した主な展覧会に「エモーショナル・ドローイング」(2008)、「フランシス・ベーコン展」(2013)、「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」(2016)、「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」(2017)、「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」(2021)など。「Logical Emotion:Contemporary Art from Japan」(2014、ハウス・コンストルクティヴ美術館他)など国外での企画も行う。2021年より現職。主な著作に『アール・ブリュットアート 日本』(監修、平凡社、2013)など。『すばる』の連載など、芸術についての寄稿多数。

WINNERS受賞者と作品


  • 最優秀賞

    スピリアールト クララ

    Clara SPILLIAERT

    Clara SPILLIAERT

    WEB SITE

    LUCA School of Arts

  • Title

    紋章 / wapenschilden

    施釉炻器

審査員講評

この作品は「紋章」をフォーマットに、作家の個人的なストーリーが展開するようになっている。スピリアールトは壁画やドローイングなど数々のメディウムを使って作品を作る中で、今回は陶器という表現方法を選び、自分自身に向き合いながら「紋章」という古くからある制度、いわゆる男性的な象徴に対し、個人的でささやかな遊びを施し優しいものに変化させている。虫や、性的なイメージの一つ一つがユニークで愛嬌があり、何かありそうだと思わせる魅力がある。今年のコロナ禍の状況において、作家それぞれが作品と向き合う時間が長かったと思うが、その雰囲気がこの作品からは深く感じられ、作品自体サイズが大きいものではないが、この作品から広がる世界観が大きく奥深いものに感じられた。(名和)

  • 岩渕貞哉審査員賞

    大塚 美穂

    Miho OTSUKA

    Miho OTSUKA

    WEB SITE

    武蔵野美術大学大学院

  • Title

    untitled

    パネルに銅版画

審査員講評

大塚はもともと絵画から銅版画に表現の方法を変えているが、とても高い技術は目を見張るものがある。キャラクターとのやや離れた距離の取り方が、いくつもの工程を経る、また自分のコントロールしきれない余地が入り込む銅版画という技法とマッチしている。そして、オールオーバーな画面は、作家の世界観がさらに展開していく可能性を予感させる、将来がとても楽しみなアーティストだ。(岩渕)

  • 金澤韻審査員賞

    鹿島 理佳子

    Rikako KASHIMA

    Rikako KASHIMA

    WEB SITE

    東京工業大学大学院

  • Title

    まさかさかさま

    映像インスタレーション

審査員講評

金澤韻賞は、鹿島理佳子さんです。この作品では、フードの後ろに顔がプリントされた服を着て、人物が後ろ向きに歩いたり、一輪車を漕いだりします。鑑賞者は映像を見ていると、どちらが前でどちらが後ろなのかわからなくなる。一見日常的な風景が、ある時点で突然、奇妙なことが起こっている場所に変貌してしまいます。シンプルなアイデアで、私たちが毎日生きる時に頼っている「感覚」というものが、いかに不確かなものであるか、ということを考えさせてくれる作品で、感覚の鋭敏さと視点のユニークさが傑出していました。(金澤)

  • 名和晃平審査員賞

    神農 理恵

    Rie SHINNO

    Rie SHINNO

    WEB SITE

    武蔵野美術大学大学院

  • Title

    wax on block

    コンクリートブロック、ワックス、塗料

審査員講評

神農は作品審査(CAF賞2次審査)の際は、よくわからない印象だったが、最終審査の展示に工夫が見られ、作品の魅力がよく伝わった。拾ったブロックがここまで魅力的なものになるのかと審査員一同感心し、色使いや形に対する繊細な感覚を持っていると思った。「コンクリートブロック」という硬い素材と「ワックス」という柔らかい素材をうまく生かし、古い素材が新しい素材に融合していくような、何気ない形が心地の良さを感じさせる。作品の配置の仕方や展示台の作りなどもよく考えられていた。今後も素材に対する豊かな感覚を活かして、新しい作品を生み出してほしい。(名和)

  • 保坂健二朗審査員賞

    岡田 直己

    Naoki OKADA

    Naoki OKADA

    WEB SITE

    東京藝術大学大学院

  • Title

    ポッキーちゃん / Pocky-chan

    映像インスタレーション

審査員講評

この作品は3DCGアニメーションと人形、絵画からなるインスタレーション作品だ。映像の中に登場する犬は、作家が以前住んでいた家で10年くらい飼っていた犬で、名前が付けられていなかったという。ある時ひょんな出来事から「ポッキーちゃん」と突然名前を付けられたという少し悲しいストーリーがあり、その話に基づいて作られたインスタレーションで構成されている。かつての記憶を掘り起こすために作家自身の家族のリサーチを行ない映像を作ったとのことだが、その映像表現は絵画的であったり、彫刻的な仕草であったりが随所に見受けられ、単なる映像ではない作品だと感じられ、審査員賞に選んだ。(保坂)

  • 海外渡航費授与

    成島 麻世

    Mayo NARUSHIMA

    Mayo NARUSHIMA

    WEB SITE

    武蔵野美術大学

  • Title

    《左》人型像《中央》はじめまして、あれ?マチュピチュなのか(自刻像)《右》木

    朴、油性ペン、木のシール、スプレー塗料

審査員講評

成島は今回2つの木彫の作品を出展している。本展に向けて追加で出展した「人型像」は高村光雲の傑作である「老猿」を思わせる、右手を挙げているおじいさんの作品である。「老猿」は右手を挙げていないが、成島の作品では手を挙げる動作を取り入れることでおじいさんを猿のように見せ、過去の名作を引用し勉強していることが伝わる。作品の下には角材が置かれ、その角材には木目のシールが貼られているなど、様々な形で彼が木彫や、日本の近代美術に対して一種の批判的なスタンスをとっていることがわかる。応募作品である大きな木彫作品は、表面にたくさんの文字が描かれクリティカルな作品となっている。このクリティカルさが日本国内でしか通用しない風潮である可能性も考え、成島には海外に行くことでさらに様々な経験や視点を探って培っていってほしいと思う。(保坂)

FINALISTS入選作家


  • 粟坂 萌子(京都市立芸術大学大学院)

    Moeko AWASAKA(京都市立芸術大学大学院)

  • 江上 越(Central Academy of Fine Arts)

    Etsu EGAMI(Central Academy of Fine Arts)

  • 大塚 美穂(武蔵野美術大学大学院)

    Miho OTSUKA(武蔵野美術大学大学院)

  • 岡田 直己 (東京藝術大学大学院)

    Naoki OKADA(東京藝術大学大学院)

  • Oku Project(多摩美術大学大学院・東京藝術大学大学院)

    Oku Project(多摩美術大学大学院・東京藝術大学大学院)

  • 鹿島 理佳子(東京工業大学大学院)

    Rikako KASHIMA(東京工業大学大学院)

  • 清川 漠(女子美術大学)

    Baku KIYOKAWA(女子美術大学)

  • 小林 颯(東京藝術大学大学院)

    Hayate KOBAYASHI(東京藝術大学大学院)

  • 佐藤 瞭太郎 (筑波大学)

    Ryotaro SATO(筑波大学)

  • 敷地 理(東京藝術大学大学院)

    Osamu SHIKICHI(東京藝術大学大学院)

  • 神農 理恵(武蔵野美術大学大学院)

    Rie SHINNO(武蔵野美術大学大学院)

  • スピリアールト クララ(LUCA School of Arts)

    Clara SPILLIAERT(LUCA School of Arts)

  • 高見 真由(東京藝術大学大学院)

    Mayu TAKAMI(東京藝術大学大学院)

  • 成島 麻世(武蔵野美術大学)

    Mayo NARUSHIMA(武蔵野美術大学)

  • ヒラヤマ ナツホ(多摩美術大学大学院)

    Natsuho HIRAYAMA(多摩美術大学大学院)

  • 堀 聖史(東京藝術大学)

    Satoshi HORI(東京藝術大学)

  • 山田 康平(京都芸術大学大学院)

    Kohei YAMADA(京都芸術大学大学院)

MOVIE


PHOTOGRAPHS


Contemporary Art Foundation