金沢 寿美
Sumi Kanazawa
Sumi Kanazawa
展覧会名:新聞紙のドローイング
会期 :2021年7月10日(土)〜7月23日(金・祝)
CAFAA賞(CAF・アーティスト・アワード)は、現代芸術にかかわるアーティストを対象としたアートアワードで、次なる世代の柱となる才能あるアーティストを選抜し、国際的に活躍するきっかけを提供することを目的に、2015年より実施しております。
書類選考によって選ばれたファイナリスト3名には個展制作費50万円が支給され、2020年10月に都内で同時に個展を開催、グランプリを決定致します。
最優秀賞受賞者には、賞金300万円に加え、ターナー賞受賞者を多数輩出した実績を持つ英・デルフィナ財団との提携により、現代アートシーンの中心であるロンドンで3ヶ月間にわたる滞在制作の機会が与えられます。
ファイナリストの三名はいずれも独自の世界観を、コロナ禍下という条件下で示唆に富んだ展示にまとめあげ、困難な選考となった。INOMATAは人間以外の生物と人間、機械を等価に置いて近代以降の美術における著作者の概念を問い、金沢はライフワークとも言える「新聞紙のドローイング」シリーズでこの間に社会に向けられた情報の可変性を星座のように描いた。田口は、美術に限らず他者と共同で時代を生き抜くことの意味を、インスピレーションを視覚化したドローイングと仮設の小屋を建てるプロジェクトで提示した。選考ではそれぞれがロンドンで三ヶ月を過ごすことで何を得るかが議論の焦点となり、ともすれば自己との対峙が続く制作過程となる金沢が、多様な文化的背景を持つ他者との出会いによって、アーティストとして大きく飛躍することを期待してアワードを授賞することとした。 審査員 片岡真実
1979年兵庫県生まれ、韓国籍。2005年京都精華大学大学院芸術研究科修士課程修了。現在は、東京を拠点に制作活動を行う。これまで日本と韓国の企画展やレジンデンスプログラムで作品を多数発表。2013・2014年には北朝鮮に最も近い島で知られるペンニョン島に滞在し、実際の鉄条網を使ったプロジェクト作品を発表する。近年の主な展覧会は、「消して、みる。」(遊工房アートスペース /東京/2018年)など個展の他、「Artist in FAS 2018」 (藤沢市アートスペース /神奈川/2018年)、「Beyond The Sun」(Icheon Art Platform /韓国/2019年)。
子供が寝た後、白熱灯が光る狭い居間で、この作品を制作してきました。
数日後、数か月後、数年後には消え入ってしまいそうな言葉やイメージに小さな光を当てながら、あるいはまだ見ぬ銀河を思い浮かべるように、静かな時間を楽しんできました。
今回の賞をいただけたことで、これまで続けてきた自分の制作に光が射したような思いです。
ロンドンのレジデンスでは、様々なルーツ、社会的背景を持った英知に富むアーティストとの出会いや、多様性のある社会で自分が何を得てどう変化するのか、と考えると今から心が弾みます。
このような機会をいただき、感謝申し上げます。
Exhibition Photo by Keizo Kioku, 3D Archive by ARCHI HATCH, Movie by Ryuichi Maruo
森美術館 館長
片岡真実
Mami Kataoka
1965年愛知県生まれ。ニッセイ基礎研究所都市開発部研究員、東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て、2003年より森美術館。2020年1月1日館長就任。2007~2009年はヘイワード・ギャラリー(ロンドン)にて、インターナショナル・キュレーターを兼務。第9回光州ビエンナーレ(2012年)共同芸術監督。第21回シドニー・ビエンナーレ芸術監督(2018年)。CIMAM(国際美術館会議)会長、京都造形芸術大学大学院教授、東京藝術大学客員教授。文化庁アートプラットフォーム形成事業・日本現代アート委員会座長。AICA(美術評論家連盟)会員。その他、日本及びアジアの現代アートを中心に執筆・講演・審査等多数。
撮影:伊藤彰紀 (Ito Akinori)
サンフランシスコ近代美術館
コンテンポラリー・
アート・キュレーター
ウンジー・ジュー
Eungie Joo
2017年よりサンフランシスコ近代美術館コンテンポラリー・アート・キュレーター。第5回安養パブリック・アート・プロジェクト(2016年)芸術監督、第12回シャルジャ・ビエンナーレ「過去、現在、可能なもの」(2015年)キュレーター、イニョチン・インスティテュート(ブラジル)芸術文化プログラムディレクターを務める。2007年から2012年には、ニューミュージアム(ニューヨーク)にて、キース・へリング・ディレクター兼教育・パブリックプログラムのキュレーターを務め、「ミュージアム・アズ・ハブ」を主宰。その他、ニューミュージアム・トリエンナーレ「統治不能なもの」(2012年)のキュレーション、第53回ヴェネチア・ビエンナーレ韓国館「濃縮-ヤン・ヘギュ」展(2009年)のコミッショナーを歴任。『Art Space Directory』(2012年)や、『Rethinking Contemporary Art and Multicultural Education』(2009年)の編集に従事。REDCATギャラリー(ロサンゼルス)のディレクターを務める。カリフォルニア大学バークレー校民族研究学科博士号取得。
photo by Heinz Peter Knes
デルフィナ財団
ファウンディング・ディレクター
アーロン・セザー
Aaron Cezar
デルフィナ財団ファウンディング・ディレクター。同財団のレジデンスや展覧会、パブリック・プラットフォームのプログラムの企画、キュレーションの監修を行う。
その他、Hayward Gallery Project Space(ロンドン)、SongEun Artspace(韓国)、 ArtBo(コロンビア)、Art Dubai(アラブ首長国連邦)等の展覧会やパフォーマンスのキュレーションを手がける。
第58回ベネチア・ビエンナーレでは、総合キュレーターのラルフ・ルゴフ(Ralph Rugoff)と共にパフォーマンスを企画。デルフィナ財団のパートナーの一つである非営利組織Art Jameel(アラブ首長国連邦)で非参議を務める他、多数の団体の理事、委員、諮問を歴任。2017年には英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートより名誉フェローシップを授与された。
Credit: Tim Bowditch
1983年生まれ。2008年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。東京都在住。2017年アジアン・カルチュアル・カウンシルのグランティとして渡米。生きものとの関わりから生まれるもの、あるいはその関係性を提示している。 ナント美術館、十和田市現代美術館(青森)、北九州市立美術館(福岡)での個展のほか、2018年「タイビエンナーレ」(クラビ)、2019年「第22回ミラノ・トリエンナーレ」トリエンナーレデザイン美術館(ミラノ)など国内外で展示。2020年「AKI INOMATA: Significant Otherness 生きものと私が出会うとき」(美術出版社)を刊行。
1980年大阪府生まれ。2004年東京藝術大学美術学部油絵科卒、2005年よりドイツ・ベルリン在住。創作をする土地に赴いてからその場特有の素材や廃棄物を見つけ、それを用いて街中や展示スペースでその場に即したインスタレーションを制作し、その過程やイベント、パフォーマンスなどをストップ・モーション映像や短編映像に落とし込み作品化している。
賞金300万円
デルフィナ財団(英・ロンドン)
レジデンス滞在制作
スペイン出身の慈善家デルフィナ・エントレカナレスによって設立された、ロンドン最大のインターナショナル・レジデンス。1988 年にシェアスタジオスペースとしてオープンし、主にアフリカや南アジア、中東のアーティストを対象に運営されていた。2007 年に財団を設立し規模を拡大。現在は全世界から、12年間で350人を超えるアーティストとキュレーターを招へいしてきた。歴代の滞在アーティストには、マーク・ウォリンジャー、ジェーン&ルイス・ウィルソン、タシタ・ディーン、マーティン・クリード、グレン・ブラウンをはじめとするターナー賞受賞者のほか、シャンタル・ジョフィ、マイケル・ラデッカー、ファルハド・モシリ、ヤン・ヘギュ、スーザン・ヘフナ、ヴィム・デルボア、ホスロー・ハッサンザデ、ハリル・ラバーといった有名アーティストも含まれる。(デルフィナ財団 http://delfinafoundation.com)