INTERVIEW

Artist #32 冨安由真

この度のアーティストインタビューでは、CAF賞2016(https://gendai-art.org/caf_single/caf2016/)にて入選された冨安由真さんをご紹介いたします。冨安さんは、心霊現象や超常現象など科学によっては説明できないような人間の深層心理や不可視なものを鑑賞者に疑似体験させる作品を制作されています。今回のインタビューでは、開催されているいくつかの展覧会について触れながら、作品に込められた思いや、ご経歴についてお話をお聞かせいただきました。

--冨安さんには2016年のCAF賞に参加していただいています。今ほど直接的ではないものの、心霊の要素が感じられる作品をご応募いただきました。いつ頃から目に見えないものをモチーフにして制作されているのでしょうか。

冨安:心霊や目に見えない物や超能力、そういうもの自体への興味は元々すごくありました。モチーフとして最初に扱ったのは、学部の卒業制作だと思います。私は2009年にロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アーツを卒業しているのですが、その時の卒業制作はポートレートでした。クラスメイトたちの写真を撮らせてもらって、それを油彩で幽霊画のように描く。日本画の幽霊画がすごく好きで、そこから影響を受けて、顔はあるけど、ボワーって浮き出てくるような作品をつくりました。

そのあと徐々に、生きている人ではなく既に亡くなっている人、もはやどこの誰かもわからない名もない人を扱いたいと思いはじめ、蚤の市で19世紀〜20世紀初頭頃の無名な人たちの古写真を集めて、それを描くようになりました。2012年の修士の修了制作展では、そのアノニマスな人たちの肖像を亡霊のようなタッチで描き、それらを幾何学模様のウォールドローイングの上に設置した作品をつくっています。ウォールドローイングは神秘主義などで扱われる図形的なイメージから影響を受けていて、神秘主義的なものと心霊主義的なものを合わせたような、インスタレーションよりのペインティングをそこで初めてしたんです。

あとは、同じようにアノニマスな人のポートレートをお守りサイズの小さな木のかけらに描いて鉱物とセットにしたシリーズ作品もあります。お守りって、個人的にすごく面白いモチーフだと思っていて、世界中のいろんなお守りを趣味で集めているんですよ。呪術に使われるプロテクション的なモチーフなどいろいろあります。それを自分も作ってみたいなと思って制作していました。

学部卒業制作 左:《Untitled (Paul)》2009年、キャンバスに油彩、鉛筆
右:《Untitled (Mayumi)》2009年、キャンバスに油彩

修了制作 《Magical Portraits》2012年、廃材に油彩、ウォールドローイング
「MA Fine Art Show」2012年、Chelsea College of Arts(展示風景より)

左:《Ammonite (Pinky Triangle)》2015年、廃材に油彩、アンモナイト
中央:《Lapis Lazuli (Mother and Child in Gloom)》2014年、廃材に油彩、木炭、鉛筆、ラピスラズリ
右:《Aquamarine (Girl)》2015年、廃材に油彩、アクアマリン

--今はもう存在しない昔の人々を描き続けているのですね。古い写真というのは、冨安さんにとってどういった存在なのでしょうか?

冨安:古い写真そのもの自体がすごく面白いなと思っています。人の中には魂があるという考え方をすると、写真では人の外側の部分だけが残っていて、中はもう存在しない。顔があって、身体があって、抜け殻の表面的な情報は確かにあるけれど、もはやどこの誰だかは誰にも分からない状態で存在している。
私は外側ではなく中側の魂がどうなっていくのかという点に関心があるので、その抜け殻状態に惹かれたのかな。中(魂)と外(身体)という概念が強調されたオブジェクトだと思っています。

--最近拝見することの多い部屋型のインスタレーションから、心霊要素が一段と強く感じられるようになった気がしています。このシリーズの作品はいつ頃から制作されているのでしょうか。

冨安:今のように大規模な部屋型のインスタレーションの始まりは、2015年の中之条ビエンナーレと、同じく2015年の別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」というトリエンナーレに参加した時ですね。その時に初めて「コトンッ」という物音を入れたり、テレビが急に点いたりといった仕掛けを取り入れた部屋型のインスタレーションを発表しました。ですが、並行してドローイングや油彩のシリーズも継続して制作しています。

--心霊であったり、目に見えないものにはずっとご興味があったんですか?冨安さんご自身に霊感があったりもされるのでしょうか。

冨安:そういうモチーフ自体は小学校の時からずっと好きでした。魔法とか超能力とか不思議なことが大好きで、その延長線上ですね。よく子供は見えやすい、とか言いますよね。見える強さは人によって違うと思うのですが、私はわりと見えてしまう子供だったと思います。でもすごく怖いと思う反面、好きでもあって、友達同士で怖いはなしをして怖がりながら喜んだりと、そういうものを身近には感じていたと思います。

《Room of a Pagan (who lived in the future)》2015年
「中之条ビエンナーレ」2015年(展示風景より)、撮影: 宮本和之

《死後について (考察)》2015年
「別府現代芸術フェスティバル2015「混浴温泉世界」」2015年(展示風景より)

--以前のインタビューで、鑑賞者に「奇妙な感覚」を与えることを念頭に置かれていると拝見しました。

冨安:博士課程に在籍中は、方法論を勉強しました。ホラー映画の方法論で有名な小中千昭さんという方の本がとても興味深いのですが、そこでは人はどのような仕掛けや演出に対して霊的なものや恐怖を感じるのか、ということが書かれています。例えば、今この場で急に大きな音を立てて物が落ちてもただびっくりするだけですよね。でも、何かがコトンッと落ちて、しばらくしたら今度は別の物音がして……、というように些細な違和感が積み重なっていくと、人はそれを勝手に関連付けて、不安を感じるようになる。そういった手法を取り入れて、実際に鑑賞する方が違和感を感じとるような手助けになるものを作っています。
私の作品を体感したことで、お客さんに「自分の普段の生活の中でも起きうるかもしれない」という感覚を身につけて帰って欲しいなと。私の作品をきっかけに、あまり普段意識していない人が違和感に気付くようになったり、あるいはより気付くようになったり……というきっかけ作りができたらいいなと思っています。普段の生活の中でのものの見方、感じ方のようなものが少し変わるような、そんな体験を作れていたら嬉しいなと思います。

--先日まで開催されていた金沢21世紀美術館での個展では、会場内に音を流していたのですよね。それも人間には感知できないような低い音ということです。

冨安:どんなに若くても人間である以上は耳では聞こえない、19ヘルツのすごく低い音を流していました。人は20ヘルツ以上になると聞こえるので、19ヘルツというのはボーダーラインにある音。耳では聞こえないけど、微妙なラインにある音なので、体では感じるんだそうです。なので、その19ヘルツの音があるところでは人間はすごく違和感を感じやすいと言われていて、それに触発されるのか幽霊の目撃談が多いそうです。心霊現象が報告されている場所では度々その音が観測されることもあるようです。
この金沢の作品では、ほとんどの人は滞在時間も長くないので何も感じないようですが、たまにすごく汗をかく人がいたり、とても嫌な感じがしたという人がいたりしました。今後も新しい要素を色々試したいと思っています。

--心霊や目に見えないものをモチーフに制作されていて、ご自身の作品を見たり、インスタレーションを体験されながら、そのような存在を探っていくという考えもおありなのでしょうか。あるいは、結果的にそのような存在の理解に近づくということはあるのでしょうか?

冨安:幽霊ってこういうものなのかなというような探り方はしていないですね。幽霊がいるのかいないのか、というようなことを探っているわけではないし、答えが出るものでもないと思っています。ただ、会期がはじまった後に、例えば撮影をする時などに自分の作品の中に1人になる時があるんですが、そういった状況の中で、ふとした時にとても怖くなったりすることがあって。制作する上で特に怖くしているつもりはないのですが、自分の作品の中で異様な雰囲気を感じる時がたまにあるんですよね。それはちょっと面白いというか、他の方にもこの体感をしてもらいたいなと思ったりはします。

《The Pale Horse 蒼ざめた馬》2021年
個展「アペルト15 冨安由真 The Pale Horse」2021-22年、金沢21世紀美術館(展示風景より)、撮影:野口浩史

《The Pale Horse 蒼ざめた馬》2021年
個展「アペルト15 冨安由真 The Pale Horse」2021-22年、金沢21世紀美術館(展示風景より)、撮影:野口浩史

--いちはらアート×ミックス2020+での展示をはじめ、近年のインスタレーションに登場する剥製の存在感が印象的です。冨安さんの作品の中で剥製の持つ意味というのはどういったところにあるのでしょうか。

冨安:昔から生き物が好きなんです。(笑)生きている動物も好きだけど、死んでいる動物も同じくらい好き。それもあって個人的に剥製や骨をたくさん集めていて、作品の中の剥製も全部私物なんです。あとは先ほどの写真の話とも繋がりますが、剥製自体が空っぽの器の状態で中身がない。それにも関わらず、そこにあると気配を強く感じる。
最近は、インスタレーションで人の姿を出したくないと考えています。人の姿があることで「この人の幽霊なのかな」「この人の物語なのかな」などとイメージが固定されてしまうのが嫌なのです。一方で何かの気配は作りたい。そんな時に剥製が適役だなと。生き物特有の強い存在感がうまく作用するのではと思って使っています。

--すごいお部屋に住んでいらっしゃるんですね!

冨安:すごい収集癖があるんです。(笑)驚異の部屋、ブンダーカマーの表現の仕方や展示の仕方にすごい影響を受けているんです。剥製も含めて、様々なオブジェを大量に集めて自分の家やアトリエに展示しています。いちはらの展示は、タロットの「塔」のカードのイメージでつくったのですが、落下の意味がすごく強いモチーフなので、鳥、蝶々、蜂、ムササビといった空を飛ぶ生き物の剥製や標本を驚異の部屋のイメージで棚に並べました。

《The TOWER (Descension To The Emerald City) / 塔(エメラルド・シティに落ちる)》2020-21年
「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020+」2021年(展示風景より)、撮影:加藤健

《The TOWER (Descension To The Emerald City) / 塔(エメラルド・シティに落ちる)》2020-21年
「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020+」2021年(展示風景より)、撮影:中村修

--剥製と並んで目を奪われるのが、インスタレーションの中に置かれた絵画です。自分がいまいる場所が目の前にある絵に描かれていて、どこかから見られているような気持ちになります。画中画については意識されているのでしょうか。

冨安:画中画にはすごく興味があります。そもそも別の世界が平面的に枠の中に存在していること自体が絵の面白さだと思うのですが、その中に絵が描かれていると世界の中にまた別の世界があることになる。入子状に違う次元が層になっていくこと、まさにそれが自分がインスタレーションでやりたいと思っていることと重なります。夢の中にいるのか現実にいるのかが分からない、見ている人が今どこの層にいるのかが分からなくなるような経験を作りたい。画中画という形式にとても親和性があると思っているので、最近インスタレーションの中にも取り入れることが多いです。

--いまここが曖昧になっていき、次元が前後する感覚のようなものを感じます。

冨安:言語化が難しいのですが、インスタレーションを一つの絵画として見せたいと思っています。画中画の中に自分が入っている状態のインスタレーションと言えばいいのかな。よく「絵の世界がインスタレーションに広がっていく」という言い方があると思うのですが、その逆でインスタレーションが絵画に収束していく。その辺りを詰めていったら面白くなっていくのではという漠然とした考えがあります。
例えば先日個展を行ったアートフロントギャラリーには外に面した大きなウィンドウがあって、それを活かしたインスタレーションを発表しました。外から見た時の見え方を意識してパースを操作した部屋を作って、その中に人が入った状態を外から別の人が見ると、中の人がまるで作品の一部のように見える。お客さん自身が画中画の中に入っている、そういうようなことができないかと最近考えています。

--新しい視点ですね。一つの世界を切り取って誰か他の人が見ている。

冨安:視点自体を変えることができたらいいなと思っています。中にいる状態でものを見ている視点と、それを俯瞰的に見ている視点。 1人の人がどっちも行き来できるようなことをもっとやって行けたらいいなと思いますね。

《The Doom》2021年
個展「The Doom」2021-22年、アートフロントギャラリー(展示風景より)、撮影:西野正将、Courtesy: Art Front Gallery

《漂泊する幻影》2021年
個展「KAAT EXHIBITION 2020 冨安由真展|漂泊する幻影」2021年KAAT 神奈川芸術劇場(展示風景より)、撮影: 西野正将

--少しご経歴についてもお聞かせいただきたいと思うのですが、いつ頃からアートフロントギャラリーとお仕事されるようになったのでしょうか?

冨安:最初に個展をしたのが2019年1月です。その後アートフェアや地域芸術祭、グループ展などでお世話になりつつ、その次の個展がこの間の2021年12月から2022年1月にかけてでした。マネージャーさんは学部時代のクラスメイトで仲良くさせてもらっていて、当時から作品や展示の企画の話をよくしていたので、元々私の作品についてはすごく理解してくれていました。

--大学時代はチェルシー・カレッジ・オブ・アーツに留学されています。

冨安:もともと東京藝大の油画科に行きたくて浪人していたんです。でも全然受からなくて、ある時悟ったんです、多分私は藝大の入試システムに合わないなと。(笑)それで、落ちたそのままの勢いで海外留学フェアに行き、そこで初めてイギリスをおすすめされました。海外だったらドイツかな、英語圏がいいけどアメリカは怖いななどと考えていたらイギリスを紹介された。本当にそれだけのことでイギリスにしようと決めました。その1週間後くらいにはロンドン芸術大学の面接を受けに行きました。

--それはすごい行動力ですね!現地に行かれて英語で面接されたのですか?

冨安:面接は東京であったんです。至れり尽くせりですけど、通訳もいました。本当何も準備せずに、予備校で作った作品などをファイリングしたポートフォリオを持って、日本語で面接を受けて、受かるという。(笑)
3月に合格したので英語の勉強もそこからやり始めました。日本では3ヶ月くらい英語学校に通い、その後入学前1ヶ月間くらいはロンドン芸術大学が開催してくれる現地の英語のスクールにも行きました。

--留学中はコミュニケーションも大変ですよね。

冨安:私はそもそも日本語でも喋りが得意ではありませんでした。今はそんなこともないのですが、本当に留学して変わったところだと思います。向こうでは「作品だけ作っていればいい」ということは一切なくて、とにかく喋らされるんですよね。喋らなきゃいけないという苦しみの中でずっと過ごしていて、ようやく学部を出た頃に、卒業できたという安心感からか人と喋るのも苦じゃなくなっていきました。当時イギリスでは、学部を卒業した外国人留学生に2年間猶予のビザをくれる制度があったので、そのまま2年間ロンドンに残りました。その期間にも作品を制作したり、旅をしたりして、少しずつ気持ちが開けていって。元々は学部だけで帰ろうと思っていたのですが、今だったらコミュニケーションも取れる気がするし、学校というものを活かせるなと思って、その後修士に行きました。修士の時はすごく楽しかったですね。

--修士の卒業後に日本にご帰国されています。

冨安:何も知らないで行ったのに、イギリスをすごい好きになってしまって。居心地が良かったんですね。居続けたいなという気持ちもあって悩んだのですが、その頃ちょうどイギリスの政権が保守に変わってビザの取得が厳しくなって。それまでは10年間イギリスにいれば永住権がとれるシステムで、その時点で7年住んでいたのであと3年頑張ろうと思っていたところ、急にそのシステムがなくなってしまった。
ビザを取るには博士課程に行くしかなかったのですが、博士に進学したところで、修了後は結局ビザが取れないので日本に戻ることになる。それであれば一度このタイミングで帰国して日本で基盤作りをして、イギリスに戻りたくなったらその後戻る方が長期的に見たら良いのではないかと判断して、日本に戻って来ました。

--それが2012年のことですよね、そこからずっと日本で活動されていらっしゃるんですね。日本とイギリス、両方の教育機関で学ばれた中でそれぞれの違いは感じますか?

冨安:違うと思います。私は日本では博士しか行っていないのですが、日本の博士は時々指導教官と面談するくらいで、後はひたすら自分の制作の研究をしている。でもイギリスは学部1年生からその形式で、課題や座学の授業が何もないんですよ。最初から自分たちが好きに作品を作って、1ヶ月に一回ほど指導教官と面談をしたり、ビジティングチューターという外部の先生たちに面談の約束つけて、話したい人は話す。

--学部から積極性が要求されるんですね。

冨安:そうなんです。逆にいうとやりたくないと思ったら何も誰とも話さずにいることもできちゃう。でも卒業自体はすごい厳しいんです。一年の終わりにアセスメントというのがあって、そこでは先生と話さないといけないので、全然作品を作っていなかったり、言語化できてないとなると人によっては落とされるし、自分からドロップアウトする人も結構いました。

--言語を問わず、作品を言語化することを習得されたんですね。イギリスで過ごされた7年間の経験は、現在の冨安さんの作品にはどのような影響を与えていると思われますか?

冨安:日本にずっといたらこういう作品の感じにはなっていなかったかなとは思います。イギリスでは、例えば霊的なものをモチーフに描くといった時にすっと受け入れられる。日本に帰ってきた時に、オカルトっぽいものを毛嫌いする先生もいるから注意したほうがいいよと言われたりしたんですけど、イギリスではむしろ自分も好きとなって色々教えてくれる。

私が影響を受けている作家にSuzan Hillerという人がいて、留学していたときにTate Britainで個展をやっていたのですが、彼女は日本でいうところのオカルト、UFO、幽霊、自動書記などをモチーフにしている作家さんなんです。最近ではヒルマ・アフ・クリントも有名になってきたと思いますが、イギリスにいた当時に彼女を参照アーティストとして勧められたこともありました。そういうものをモチーフにした作家が出てきたり見直されたりし始めていたのがちょうど私が留学をしていた頃と重なるのかもしれません。

--この数年は同時進行でいくつもの展示をされていらっしゃいます。規模も大きいものが多く、どう乗り越えていらっしゃるのか気になっています。お仕事は断らず全部受けていらっしゃるのでしょうか?

冨安:まさに今も大変で、探り探りではあります。インプットの時間がなくなって、結果的によくない作品を出してしまっても意味がないと思うので、様子を見ながらうまく調整をして行けたらいいなって思っています。今まではいいお話をいただいたら全部受けてきましたが、最近は考えながらやっています。

制作には資金もかなりかかるのですが、博士展や修了して数年は全部自腹だったんですよ。その時は自分にこれは投資だと言い聞かせて、今ここでお金をケチって中途半端なものを作っても次に繋がらないから、借金してでも全力で見せてくしかないと思い貧しい生活をしていました。私のような作風の作家はどこかで自己投資して制作をしないといけない時があるのかな、という気はしますね。

--どうぞご無理されずに制作されてください。そんななか恐れ入りますが、最後に今後の展示のご予定など決まっているものがありましたら教えていただけますか?

冨安:「瀬戸内国際芸術祭2022」に参加します。春会期はどうしても調整がつかず、夏会期と秋会期のみに参加します。瀬戸内への参加は初めてなので、とても楽しみにしています。豊島という島で、新作インスタレーションを発表予定です。
それから先日まで東京で開催していた「楳図かずお大美術展」が大阪のあべのハルカス美術館に巡回します。楳図先生の作品とコラボしたインスタレーションを発表します。

タイトル:瀬戸内国際芸術祭2022
会期:春 2022年4月14日(木)〜5月18日(水)(※ 冨安は不参加)、夏 8月5日(金)〜9月4日(日)、秋 9月29日(木)〜11月6日(日)
https://setouchi-artfest.jp/

タイトル:楳図かずお大美術展
会期:2022年9月17日(土)〜11月20日(日)
時間:火〜金 / 10:00-20:00、月土日祝 / 10:00-18:00
会場:あべのハルカス美術館
https://umezz-art.jp/

冨安 由真|Yuma TOMIYASU

1983生まれ
2009 ロンドン芸術大学, Chelsea College of Arts, BA Fine Art科 卒業
2012 ロンドン芸術大学, Chelsea College of Arts, MA Fine Art科 修了
2017 東京藝術大学大学院美術研究科 博士後期課程美術専攻(研究領域油画)修了 博士号(美術)取得

主な個展
2021-22 アペルト15 冨安由真 The Pale Horse、金沢21世紀美術館(石川)、The Doom、アートフロントギャラリー(東京)
2021 KAAT EXHIBITION 2020 冨安由真展|漂泊する幻影、KAAT神奈川芸術劇場(神奈川)
2019 Midnight Visitors 真夜中の来訪者、西武渋谷店 美術画廊・オルタナティブスペース(東京)、Making All Things Equal / The Sleepwalkers、アートフロントギャラリー(東京)
2018 第12回 shiseido art egg:冨安由真展 くりかえしみるゆめ Obsessed With Dreams、資生堂ギャラリー(東京)、guest room 002 冨安由真:(不)在の部屋――隠れるものたちの気配、北九州市立美術館(福岡)

主なグループ展
2022 楳図かずお大美術展、東京シティビュー(東京)
2021 Encounters in Parallel、ANB Tokyo(東京)、房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020+(千葉)、アートスロープ、西武渋谷店 美術画廊・オルタナティブスペース(東京)、ART FAIR TOKYO 2021、東京国際フォーラム(東京)
2020 nine colors ⅩⅣ、西武渋谷店 美術画廊・オルタナティブスペース(東京)、一枚の絵の力 Power of a painting、OIL by 美術手帖 (ONLINE)、PROJECT 501(東京)、3331 ART FAIR、3331 Arts Chiyoda(東京)、まなざしのカタチ、WAITINGROOM(東京)
2019 買える!アートコレクター展 Collectors’ Collective vol.1、 MEDEL GALLERY SHU(東京)、nine colors XⅢ、西武渋谷店 美術画廊・オルタナティブスペース(東京)
2018 nine colors XII、西武渋谷店 美術画廊・オルタナティブスペース(東京)、第21回 岡本太郎現代芸術賞展、川崎市岡本太郎美術館(神奈川)
2016 第3回CAF賞入選作品展覧会、3331 Arts Chiyoda(東京)
2015 中之条ビエンナーレ(群馬)、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」(大分)

受賞歴
2018 第12回 shiseido art egg 入選(東京)、第21回 岡本太郎現代芸術賞 特別賞受賞(神奈川)
2016 第3回 CAF賞 入選(東京)
2010 The Jerwood Drawing Prize 2010 入選(ロンドン)

Contemporary Art Foundation