CAFAA賞

CAFAA 2020 賞金300万円 副賞 デルフィナ財団(英・ロンドン)レジデンス滞在制作 CAFAA 2020 賞金300万円 副賞 デルフィナ財団(英・ロンドン)レジデンス滞在制作

CAFAA賞について

CAFAA賞は(CAF・アーティスト・アワード)は、現代芸術にかかわるアーティストを対象としたアートアワードで、次なる世代の柱となるアーティストを選抜し国際的に活躍するきっかけを提供することを目的に2015年より実施しています。審査によって選ばれたグランプリ受賞者には、賞金300万円に加え、アメリカNYのブルックリンにあるJ-Collaboとの提携によりNYのアートシーンを牽引する活気にあふれたブルックリンで3ヶ月にわたる滞在制作の機会が与えられます。

本年のCAFAA賞は、教育機関を卒業して5年から10年程度のアーティストの皆さまが対象です。財団の事業を通じ出会った若手のアーティストの方々とお話しする中で、海外のAIRに挑戦したいが、繋がり、語学、金銭面で不安が多いという声を多く耳にしました。CAFAA賞が今後のご活躍の場を広げる一つの足がかりになればという想いで開催しております。

CAFAA賞2023 審査員評

東京オペラシティアートギャラリー
シニア・キュレーター

野村しのぶ

最終選考に選出された5名の多くが、作品制作以外の活動(キュレーション、修復、建築設計)を行っているという点が、現在の作家のあり方の一面を表しているようで興味深かった。他分野における活動の有無に限らず、作品制作とは社会/日常生活におけるさまざまな体験と不可分であることを改めて感じさせられた。最優秀賞を受賞した髙橋銑はブロンズ彫刻の修復家でもある。アノニマス(匿名的)な存在と思われがちだが、修復とはその度合いや方向づけが多分に恣意的であることを自覚し、日々目と手で他者の作品を観察し続けることでしか得られない独特の視点、感覚によって制作される作品が光った。海外での滞在でその目と手がなにを見て作るのか、楽しみである。

インディペンデントキュレーター

吉竹美香

数多くの優れた作品の中で、高橋銑の制作には私たちが現在直面している日常生活の状況に対する繊細な感受性が反映されていた。日本やアメリカの重要な美術作品の修復を行ってきた貴重な体験を通して、マテリアリティーに対する目に見えない優れた知覚能力を持っていることに驚いた。彼がニューヨークで、修復家と研究を進めながら繊細な専門知識を、新しい表現の次元を制作に活かして行くことを楽しみにしている。

J-Collabo/エグゼクティブ・ディレクター&理事

斯波雅子

日米文化交流を活動の基軸とするJ-Collabo及びこの度新設することになったBushwick Experimental Art Foundation(BEAF)は、現代芸術振興財団の初の米国パートナーとしてレジデンシープログラムを開始するにあたり、第一弾アーティストの選出にはNYならではの出会いと体験を活かせる事を重視した。高橋銑は修復師としての視点から、リサーチと制作を組み合わせた活動が非常にユニークで興味深い作家で、彼がNYで様々なアート機関やカテゴリーの作品に触れることで創作に豊かさがもたらされることを期待し、初めての米国滞在により、今後の作家活動に予期せぬ変化が生まれることを楽しみにしている。

最優秀賞

プロフィール

1992年東京都に生まれ、東京藝術大学大学院 美術研究科彫刻専攻修士課程を2021年に修了。近現代彫刻の保存修復に携わりながら、自身もアーティストとして作品制作を行う。保存修復の知識や経験を起点とし、彫刻、映像、インスタレー ションなど多岐にわたる作品を展開している。主な展覧会にリニューアルオープン記念特別展 Before/After、広島市現代美術館(2023)、これらの時間についての夢、宇都宮美術館(2022)、CAST AND ROT、LEESAYA(2021)、二羽のウサギ / Between Two Stools、The 5th Floor(2020)など。

受賞者コメント

これまで日本国内での活動に力を注いできた私は、コロナによる人々の移動の制限が徐々に緩められていくことを受けて、海外に活動の幅を広げられるきっかけとなる出来事は作れないかと気を揉んでいました。
そのようなタイミングでこのCAFAA賞を頂けたことに大きな喜びを感じています。
NY滞在では事務局の皆様と作り上げていくプログラムと向き合いつつも、現地で出会うであろう多くの人々との関わりの中で得られる物をまず大切にしていこうと思います。
このような貴重な機会を頂けたことに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

審査員

  • 東京オペラシティアートギャラリー
    シニア・キュレーター

    野村しのぶ

    Shino NOMURA

    主な展覧会に「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」(2022)、「カミーユ・アンロ|蛇を踏む」(2019)、「単色のリズム 韓国の抽象」(2017)、「サイモン・フジワラ|ホワイトデー」(2016)、「ザハ・ハディド」(2014)、「さわ ひらき Under the Box, Beyond the Bounds」(2014)、「エレメント 構造デザイナー セシル・バルモンドの世界」(2010)、「都市へ仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み」(2009)、「伊東豊雄 建築|新しいリアル」(2006)、「アートと話す/アートを話す」(2006)。収蔵品展、若手作家紹介シリーズproject Nも担当。外部の仕事に大林財団《都市のヴィジョンーObayashi Foundation Research Program》推薦選考委員、Tokyo Contemporary Art Award選考委員、国際交流基金「11 Stories on Distanced Relationships」共同企画(2021)など。

    Photo: ITAMI Go

  • インディペンデント・キュレーター

    吉竹美香

    Mika YOSHITAKE

    ハーシュホーン美術館と彫刻庭園(ワシントンD.C.)元キュレーター(2011–2018年)。カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)より修士号および博士号取得。博士論文をもとに「太陽へのレクイエム:もの派の芸術」(Blum & Poe、ロサンゼルス、2012年)を企画し、国際美術評論家連盟アメリカ支部(AICA-USA)より受賞。開催予定も含む主な展覧会=草間彌生の特別巡回展 「Infinity Mirrors」(ハーシュホーン美術館と彫刻庭園、ワシントンD.C.、 2017–2019年)、「パレルゴン:1980-90年代日本美術」(Blum & Poe、ロサンゼルス、2019年)、「奈良美智 国際回顧展」(ロサンゼルス・カウンティ美術館、2020年、ゲストキュレーター)、草間彌生展「KUSAMA:Cosmic Nature」(ニューヨーク植物園、2021年、ゲストキュレーター)。草間彌生回顧展「YAYOI KUSAMA:1945–NOW」(M+、香港、2022年、ドリュン・チョンとの共同企画)、「息(る):気候変動と社会正義(Breath(e): Towards Climate and Social Justice)」(ハマー美術館、ロサンゼルス、2024年、グレン海乃との共同企画)。また、村上隆回顧展「©Murakami」(ロサンゼルス現代美術館、2007年)、「李禹煥」展(グッゲンハイム美術館、2011年)にも携わり、カタログに寄稿。「ターゲット・プラクティス」(シアトル美術館、2009年)、 「カール・アンドレ:場所の彫刻1958–2010」(Dia Art Foundation、2014年)、「東京1955-1970:新しい前衛」(ニューヨーク近代美術館、2012年)のカタログにも寄稿。

    Photo: Winnie Yeung @ Visual Voices

  • J-Collabo/
    エグゼクティブ・ディレクター&理事

    斯波雅子

    Masako SHIBA

    2002年にラトガーズ州立大学美術史学部を卒業後、ニューヨークを拠点として主にアジア文化系団体でのマネージメントに従事。ジャパン・ソサエティー・ギャラリー、アジア・ソサエティ美術館勤務後、2019年にアジアン・カルチュラル・カウンシル日本財団の初代事務局長を経て現在は現代アート事業会社を起業しつつ、ブルックリンの非営利団体J-Collaboの初代エグゼクティブ・ディレクターとして日本人アーティストに特化したアーティスト・レジデンシー・プログラムと展覧会スペースのキュレーションを手がけている。その他、コンセプチュアルアートを事業化する試みとして、NFTキュレーション会社ONBDを共同設立し、宇宙事業スタートアップSpacetainment社のアート事業統括と米国代表をしつつ、ニューミュージアムの付属機関、New Inc.のメンター、ダライ・ラマ14世公式バイオグラフィー作品展実行委員を務める等様々な機関に関わっている。近年は特にNFTスペシャリストとしてWeb2/Web3問わず登壇の機会も多い。

    Photo by Davi Russo

最優秀賞

最優秀賞 1名

賞金300万円

副賞

J-COLLABO レジデンス滞在製作
(NY、アメリカ、2023年予定、3ヶ月)

※現地でのレジデンス先やプログラムの内容、日程等は
受賞者と協議の上変更になる場合もございます。

  

J-COLLABO

ニューヨーク、ブルックリン地区に拠点を置くJ-Collaboは、2008年の創立以来、非営利団体として、日本文化を伝える活動を行ってきた。2022年度より新たな試みとして、日本からの招聘作家の支援に特化したアーティスト・レジデンシー・プログラムを開始。現地のアーティスト、キュレーター、美術団体との交流によるアーティストの成長を促すと同時に、オープンスタジオ等を通して地元コミュニティへの異文化交流体験を提供。また、一階展覧会スペースでは「日本」という概念を起点とした、新たなアートの表現方法の提示を試みる企画展が予定されている。
(J-Collabo https://www.j-collabo.org/)

応募条件

  • 大学・大学院などの教育期間を卒業後、5〜10年程度のもの
  • 日本国籍を所有するもの、あるいは日本在住のもの
  • 作品ジャンル不問
  • ユニットやコレクティブなど複数名での応募も可
    ただし、全員が応募条件を満たしていること
  • 受賞時にプロフィールや氏名、肖像画像の発表が可能であるもの
  • 2023年4-5月に行われる審査に参加できること
  • 著作権の扱いは全て作者本人に帰属

問い合わせ先

公益財団法人現代芸術振興財団

TEL
03-6441-3264
E-mail
hello@gendai-art.org

Contemporary Art Foundation